ドライアイ~症状と治療について~

ドライアイは、涙液の減少や質の変化により眼の表面(角膜や結膜)に障害を引き起こす疾患です。涙液はまばたきによって眼の表面をおおい、乾燥予防、洗浄、殺菌、栄養供給などの役割を果たします。その涙液に異常があると眼の表面が乾燥し栄養不足になることで傷ができ易くなり、様々な症状が生じます。わが国の患者数は推定800万人といわれ、パソコンの普及や環境汚染により今後増加すると考えられています。

1.症状について

眼が疲れる、ゴロゴロする、なんとなく不快感がある、眼が重い、かすんで見える、充血する、涙がでる、眼がかゆいなど症状は様々です。典型的には朝に眼があきにくい、夕方になると眼をつむりたくなるといった症状を多く聞きますが、なかには眼がクシャクシャする、涙が出て困るといった症状を訴える方もいます。これは眼の表面が乾燥により刺激に弱くなり、反射性に涙が分泌するためです。これらの中にあてはまる症状が多くある方はドライアイの可能性が高く、眼科で検査を受けることをお勧めします。

2.ドライアイの原因

涙の量・質の低下:高齢、睡眠不足、ストレス、結膜などの粘膜に影響を及ぼす病気、ある種の薬剤など
まばたきが少ない:パソコンやテレビ、運転、読書など集中して眼を使う作業 涙が蒸発しやすい:空調などによる室内の乾燥
その他:コンタクトレンズ装用、アレルギー性結膜炎、紫外線など

3.ドライアイの治療

  1. 日常生活の注意
    • 眼が疲れたと感じたら、休ませましょう。
    • テレビやパソコンの画面は眼より下に置きましょう。下に見ることで涙の蒸発をおさえます。
    • 室内が乾燥しているようであれば、加湿器などを設置し防ぎましょう。
    • 睡眠不足やストレスをためないように。またタバコの煙などもドライアイの原因です。なるべく避けるようにしましょう。

    以上の注意で改善しない場合は、点眼を使用します。

  2. 点眼液は人工涙液(涙の成分に調整された点眼液)や角膜保護成分(ヒアルロン酸)を含んだ点眼液などがあります。
    また、最近新しいタイプのドライアイ治療薬として、涙液のムチンという水分を保つ成分と涙液の分泌を促進する点眼薬も発売されています。

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    種類や回数は症状によって異なりますので、医師の指導を受けましょう。

  3. 点眼で改善がない場合は外科的な治療もあります。涙の流れ出る涙点を塞いで涙をためる方法です。主に重症例に行いますが、シリコン性の栓(涙点プラグ)をつめる方法や縫合して塞ぐ方法があります。どちらの方法もいい点と悪い点がありますので、よく医師と相談の上決めるといいでしょう。その他にも保湿のためのドライアイ用眼鏡も使用されています。
    当院では従来のように軽症では点眼によるコントロール、軽~中等症では点眼の併用や夜間の眼軟膏、重症ではリコン製涙点プラグの挿入を行っています。涙点プラグは重症例の症状改善に効果的ですが、やや異物感が気になったり、挿入時に涙点拡張など処置を必要とする、外れやすいなど問題点もあります。

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    dry4また、キープティア○Rという液状の涙点プラグもあります。アテロコラーゲン溶液というもので、冷所で液体のものが体温でゲル化する性質があります。そのため液体で注入しますので、挿入時の拡張が不要、異物感がない、外れない、また必要に応じて除去も可能です。ただし効果はシリコン製涙点プラグよりマイルドなので、軽~中等症のかたで点眼の効果が不十分と感じている場合、有効性が期待できます。

最後にドライアイは自覚的にわかりづらく、また不快に思っていても病院に行くほどでもないと思われがちですが、日常の注意や治療で快適に過ごせるようになります。是非一度医師にご相談ください。