当院の白内障手術

耳側角膜切開:

白内障手術の切開創には、白目を切る強角膜切開と黒目の周辺を切る角膜切開があります。角膜切開の利点としては、出血がない、浅前房(角膜と水晶体間の空間が狭い状態で沖縄の方に多い)の際に有利などがあります。また耳側から切開することによりほりの深い方(奥目の方)でも安全に手術ができます。弱点としては術後感染症の割合が強角膜切開に比べ多いという研究報告があります。術前・術中の抗菌点眼や消毒、術後の感染予防など徹底して対処しております。

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プレチョップ法:

白内障を超音波吸引除去する際、一般的には眼内で白内障を4~8個に分割して吸引します。その白内障の分割方法には、前述の術創のほかに小さな切開創を作製し細い器具を入れて吸引しながら両手で分割する方法と前述の術創より特殊な器具を使い4~8分割してから吸引する方法があります。当院では後者のプレチョップ法を選択しています。術創が1ヶ所でいいこと、事前に分割することで眼内での超音波器具操作が短時間であることから手術侵襲が少ないと考えています。ただし、進行の強い症例、チン氏小帯の弱い症例などではプレチョップ法を選択しない場合があります。(習熟度の問題でもあり、今後全例にできることが理想です。)

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インジェクターによる眼内レンズの挿入:

現在、眼内レンズは柔らかい素材(アクリルやシリコン)のレンズを使用し、小切開創より折り曲げて挿入する方法かインジェクターという器具を使い注射器のように挿入する方法が一般的です。インジェクターを使用する方法がより小さい手術創から挿入可能であり、レンズが眼外の組織に触れないため感染予防にも有効と考えられています。

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以上、当院での白内障手術の特徴です。私のできる範囲で侵襲が少なく短時間で終わる方法を選択しておりますが、切開創をさらに小さくする方法や乱視矯正手術の併用、遠近両用眼内レンズなど手術はますます進化しています。どの方法がいいのかは医師の考えもありますし、やりなれた方法を続けることが安全なのかもしれません。私なりにいいと思える方法を選択しておりますし、今後も新しいことを取り入れていこうと思っています。ご意見・ご質問などありましたらいつでもお願いいたします。